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【素人が書いた短編小説】キミへ

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※これは素人の書いた小説まがいなストーリーです

出会いはいつだって突然に

目を覚ますと、そこにはキミがいた

ほっそりとした美しいカラダ、誰にも真似することのできないフォルム

キミは何も言わず、ただ微笑んでいるだけだ

ボクはその顔にひたすら見惚れてしまって、時間にしておよそ2分、ただひたすらキミだけを見つめていた

釘付けである

さて今日は何をしようか・・・

とりあえずボクは、起きて顔を洗って日課である読書をすることにした

左手には自慢のコーヒーマシンで熱々に煎れたばかりのカフェオレを携えて

最高のブレイクタイムだ

もはやこのひとときのために生きていると言っても良い

しかし、大切な時間だがどうにも読書に集中できない

理由は明白、キミが何も言わずにじっと見つめてくるからだ

やめてくれ

ボクはキミに気に入られるほどの器でもないし、今は大事な時間なんだ。ほっといてくれないか

しかしキミはお構いなしにこちらを見つめてくる

ふう・・・と一息付き、ボクは外へ出た

何か美味しいものでも食べに行こう

そうすればこのモヤモヤした感覚も紛れるはずだ

しかしどれだけ舌鼓を打つ食事にありつこうとも、キミのことが頭から離れられない

結局ボクはこのモヤモヤした感覚を払拭できずに帰宅した

決断

やけに静かだ・・・

まさか!とボクは駆け足気味に部屋のドアを開けた

そこは今朝目覚めた時と同じ光景

キミが何も言わずにこちらを見つめてきた

ボクはホッとしたような、がっかりしたような、不思議な感覚に見舞われた

分かったよ・・・

ボクはもう諦めてキミを受け入れた

キミは嬉しそうな顔をしてまたにっこりと微笑む

そんな顔を見たボクもまた頬が緩む

こんな感覚はいつ以来だろう

ずっと孤独だったからか心の奥がふわふわしてくる

誰かと一緒にいるってこういう感覚なのだろうか

「ずっと独身でいいや、気楽だしぃ〜」

と、友人との会話では口癖のように言ってきた

しかしいつしか

「このまま一人で死んでいくのかな・・・」

と、不安にかられることも多くなった

結局、人は一人では生きていけないのだと思う

パートナーと共に笑い、泣き、喜びを共有することでもまた、生きている実感を確認することができる

もちろん一人でも生を実感できている人はたくさんいるけれども、どうやらボクは他人と関わらないと生きていけないタイプらしい

これからはキミと一緒に関わることで、ボクも今まで味わったことのない「生」を実感できるのだろうか

キミはどうだい?

ボクと関わることで「生」を実感するのだろうか

それともそんな理屈なんか抜きにしてこんなボクと関わってくれるというのかい?

・・・いや、こんな問いをキミに投げかけるのは野暮だよね

キミは何も言わずにボクのそばにいてくれるんだよね

ボクは突如現れた訪問者を受け入れ、ともに時間を共有することにした

それは楽しく、幸せな時間で、間違いなく「生」を実感できていた

その日は突然に

しかし幸せな時間というのは長くは続かないというのが世の常なのだろうか

ある日突然、キミはボクの前から姿を消した

ボクは焦った

今まで心の拠り所にしていたキミが突然いなくなり、どうしようもない不安に駆られた

「なぜだ・・・ボクに何か落ち度があったんだろうか・・・キミを不安にさせてしまったのか?」

ボクは何度も何度も頭を悩ませ、泣いた

泣いたという事実がまた、キミがいなくなったという現実をボクに突きつけ、さらに涙を流す

しかし突然、頭の中に声が聞こえた

それは今まで聞いたどんなに素晴らしい音楽よりも美しく、叙情的で優しい声だった

「今までありがとう。あなたと過ごせて楽しかった。でも私は消えなければならないの。私がずっとあなたのそばにいると、迷惑になってしまうわ。だから私がいなくても強く生きてください。私はいつだって、あなたのことを上から見ています」

待ってくれ。確かにキミに依存はしていたかもしれない

自宅で仕事をする時も、本を読んでいる時も、いつだってキミのことが気がかりだった

気になって、眠れない日々も続いた

それほどキミはボクの中に定着していったんだ

ボクの叫びも虚しく、キミの声は次第に聞こえなくなり、部屋にはいつもの光景がただ広がっていた

ボクはというと、ただただ呆然とし、立ち尽くすだけだった

エピローグ

これはボクからキミへと送る、最後のメッセージだ

初めて会った日からずっと、キミのことが気になっていた

キミは笑い、何を喋るでもなく、ただただボクの話を聞いて微笑むだけだったね

それでもボクはひたすらに満足で、嬉しかった

キミはボクの人生に光を与えてくれた

キミは言ったね

「私はいつだって、あなたのことを上から見ています」

そうだ

上なんて最後に見たのはいつだったろうか

ずっと下ばかり見て俯いているばかりの人生だった

これからは上を見よう

上を見て、生きていこう

キミもまた、それを望んでいるはずだ

上を見て生きていれば、またキミに会える

そんな気がしてならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上を見るといつだってキミがいる(早く消えてくれ)