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【書評】今の日本を生き抜くには『本当の貧困の話をしよう』を読むと良い

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むかみです

今回は【本当の貧困の話をしよう】を読んでみての書評になります

テレビ・新聞・ラジオ・ネットなど様々なメディアで取り上げられるテーマの一つである【貧困】について、実際に貧困の現場に赴いて体験した著者のルポルタージュ(現地で取材してきたことの報告)になってます

学校ではあまり教えてくれなかった貧困の話、それに伴うセックスの話、実際に何十カ国ものスラム街に赴き取材した話など、かなり濃い内容になっています

この本を読んで、日頃あまり考えることのなかった貧困についていろいろ感じることがあったので綴っていきます

何より重視すべきなのが「自己肯定感」

この本では一貫して自己肯定感を重視しています

自己肯定感とはよく自己啓発なんかで言われている「自分を肯定してあげる」能力のことで、端的に言えば「自分ってすげえわ」みたいな、逆に言えば自分を否定しない能力であるとも言えますね

自己肯定感が強いと、例え悲惨な状況にあってもそこから打開すべく何かしらの行動をとります

結果としてそれがプラスの方向に働くことが多いから貧困のスパイラルから抜け出すことができる

だから自己否定感を捨てて、自己肯定感を高めようと訴えています

自己否定感が強いと、自暴自棄になったり、犯罪に手を染めたりしてしまいます

貧困 → 自己否定感 → 悪展開

この流れによって自分の人生が良くない方向に向かってしまいます

例えばお金のない家庭の子供が学校でいつも同じ服だからとバカにされ、「自分なんて・・・」と自己否定感を募らせて犯罪や、最悪の場合自ら命を絶つ事もあります

なのでまずは自己否定感を高めない、逆に自己肯定感を高めると状況は好転する、ということを語っています

先進国である日本における貧困

世界的に見れば、日本はアメリカ、中国に次ぐ第3の経済大国であるとされています

一方で日本は「貧困大国」であるともよく言われているようです

大学生が奨学金の返済に苦しむというのも貧困の原因の一部とも言われていますよね

大学生の約半数が奨学金の返済に追われているらしい!

日本では海外のスラム街のようにストリートチルドレンが大量に存在していることはありませんが、日本でも貧困問題はよく取り上げられていますよね

その原因の多くは【自己否定感】によるものだそうで、著者によると日本に比べて海外のスラム街の人たちは自己否定感が無いから強く生きていけていると語っています

もちろん全てのスラム街出身者に自己否定感が無いわけでは無いと思いますが、日本と海外に共通して言えることは、貧困問題の多くは「自己否定感によるもの」とされているようです

マイクロファイナンスという仕組みが貧困を抜け出す

マイクロファイナンスという言葉を知ってますか?

マイクロファイナンスとは、2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのムハマド・ユヌスという人が作った【グラミン銀行】によって世界に広まった手法のことです

生活環境を変えるために商売を始めたりするにはお金を借りる必要がありますよね

例えば最新の農具を買って効率よく作物を育てるとかですね

でもそもそも担保もなく多額の利子がついてしまい結局貧困から脱出できなくなります

そんな状況を変えるための手法がマイクロファイナンスです

これはどういうものかというと、貧しい人を対象に担保無しの少額の融資を行うのですが、その条件として

  1. 借り手は5人1組になり返済に対する連帯責任を負う
  2. 借り主は女性であること

この二つの条件が揃って利用することができるサービスです

①借り手は5人1組になり返済に対する連帯責任を負う

借り手が複数の場合、誰かが返済を滞らせようとしても「あなたが返済しないとみんな借りることができないから、頑張って返済しようよ」と互いに監視の目を付けさせることで返済を完了させるそうです

実際には他のメンバーの負債を代わりに背負うというパターンもあったみたいですが、そもそも借りれるチャンスすら無い人達には良い制度なのかなあと感じました

②借り主は女性であること

この理由はシンプルで、男性だとお酒やギャンブルに使ってしまうからだそうです

女性の方が堅実ということなんでしょうね

貧困によって道を外した子供には「出会い」が必要ということ

家庭環境の問題や何らかの理由で道を外してしまった子供の人生をひっくり返すには「出会い」が必要としています

ここでいう「出会い」とは人に限らずに絵やアニメ、本、音楽、旅など何でも良いから刺激を受けることで気持ちをリセットして人生を一変させるというもの

レディーガガも10代の頃は薬物依存に苦しんだようですが、デヴィッド・ボウイのアルバム【アラジン・セイン】に出会ったことで人生が変わったと語っています

人によって何に刺激を受けるかは千差万別、人それぞれなのでこれをすれば解決!ということはなかなか難しいかと思いますが、どんどん選択肢を与えてあげれば良いのかもと思いました

何か問題を抱えている人に対し、例えば本を紹介するだとか、それこそレディーガガのように音楽に刺激を受けるのかもしれない

どんなところに人生に革命を起こす出会いが潜んでいるか分からないので何でも興味を持ったことにはとりあえず取り組んでみる、という姿勢は常に持っておこうと感じました

まとめ

ちょっとテーマ的に暗めな感じになっちゃいましたが、この本を読んで貧困について知る良いきっかけになりました

貧困問題は一見自分たちにあまり関係ないことのように思えるかもしれませんが、現在の日本では年金問題や少子高齢など、貧困とは切って離せない問題が多々あります

そんな状況において、実際に起きていることをあらかじめ知っておくことで自衛できることもあるのではないか、そんなことを感じた本でした

これからの日本を生きていく上で、貧困問題について今一度理解を深めておくのも良いかもしれませんね